(ユリイカ『総特集・腐女子マンガ大系』2007年刊の表紙。男の子に手を引かれている女の子の視線がじつにイイ。絵は草間さかえさん)
ユリイカの『総特集 腐女子マンガ大系』2007年刊にのる、上野千鶴子さんの「腐女子とは誰か」というエッセイをぼくはBLや腐女子についてのバイブルだとずっと思ってきました。
上野千鶴子さんと言えば、論客というか、オピニオンリーダーというか、キレ味鋭い考察や、勇気あふれる言動で有名です。
ただ、この文章はそうした勇ましさよりも、実に緻密に考え抜かれているところがいい。別の言い方をすれば、上野さんの言葉の一つ一つが肝にこたえるんですね。おそらく、腐女子の方々の多くはとても元気になるというか、力を与えてくれる文章だと思います。
と同時に、私たち若衆研の在り方を考えたり、『男色大鑑』を理解する上にも、たいへん役立つ文章です。
それはBLや腐女子が、まだまだ偏見の渦の中にあるのと同様、『男色大鑑』もやはり偏見の渦中にあるからです。
上野さんの文章を読むと、その偏見というものが巨大かつ執拗であり、実に醜悪であることがよく分かります。
この偏見はおそらく無くならないでしょう。そればかりか、昨今では、さらに膨張するきらいも見せています。
その偏見の渦中にあって、どうすれば良いか。
上野さんは、批判にひるむことなく、相手にすり寄ることなく、おのれの可能性を突きつめよ、と言っているように思います。
BLの可能性とは、『男色大鑑』の可能性とは何か。
これを突きつめながら、迷ったら上野さんの文章を読む。
ぼくは、これしかないと思っています。
染谷智幸(若衆文化研究会)
追伸:このユリイカの特集号は、すこし前のものですが、九州男児さんのインタビューやたいまつさんのエッセイなども載っていて、すこぶる面白いものです。ぜひご一読を。


