儀間比呂志の版画「若衆踊り」

染谷記

(儀間比呂志の版画「若衆踊り」染谷蔵)

儀間比呂志(1923~2017)は沖縄出身の版画家・絵本作家として有名な方です。

沖縄・琉球の民族・民俗をもとに、陰影の濃い、独特な木版画を遺した方です。
この若衆画は、そうしたものとはちょっと違って、儀間さんにしては珍しく明るく軽いタッチの作品です。

昨年の12月にも書きましたが、沖縄・琉球の若衆踊りの原点には、江戸時代の若衆歌舞伎があります。若衆踊りは、江戸時代初期の江戸で人気を博した若衆歌舞伎が、琉球の慶賀使・謝恩使によって琉球に伝わったものだからです。

この若衆踊りは、当然、現代にも伝わっていまして、ビデオで見ることが出来ます。その踊りの所作が実にたおやかで、まるでお能を見ているようです。こうした伝承というものが、古態をよく伝えることは柳田・折口の民俗学が明らかにしてきたことですので、能との関係をじっくり考えたいところですが、私は、江戸初期の若衆歌舞伎こそが能の動きに近かったのではないかと考えています。

普通、若衆歌舞伎は少年の肉体を使う関係から、現代のJポップ、Kポップアイドルのように、激しい動きがあったとされます。そうした一面もあったでしょうが、また一方では静かな所作もたくさんあったと考えてみたいのです。静と動と言っても良いでしょう。

現代、沖縄で行われている若衆踊りは女性が演じています。少年ではすぐに成長して男らしさが出てしまうために、せっかく芸を覚えても、長く演じられないからです。それをカバーするために女性が踊っているのです。(ちなみに、儀間さんの描いた若衆、男性か女性かちょっと分かりにくいですね)

この盛りの短さ儚さは若衆の「味」ですが、これを芸として連続して繋ぐためには、また独特の苦労があったのだと、こうした沖縄の若衆踊りの有り方から分かります。

いつか、沖縄に行きまして、若衆踊りを直に拝見したいと考えております。

(染谷智幸)

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